犬山市都市景観条例

平成5年3月30日
条例第3号

犬山市は、歴史を誇る国宝犬山城、雄大な自然の中をとうとうと流れる木曽川、緑豊かな丘陵と田園、そして日々の生活の綾をなす“まち並み”など表情豊かなまちです。
わたくしたちの求める都市景観は、犬山市民や犬山市を訪れる多くの人々にとって、自然や人工的な美しさとともに、歴史と文化資源を活かした、温かい心がかよいあう豊かな人間性を育む美しさです。
わたくしたちは、先人の努力を受け継ぎ、犬山のまちが市民にとってかけがえのない共有財産であることを認識し、わたくしたちのまちを誇りと愛着と活力のある美しい快適な都市に育て、これを後世に引き継いでいくことを決意し、この条例を制定します。
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 都市景観の形成
第1節 都市景観基本計画(第6条)
第2節 都市景観重点地区(第7条―第16条)
第3節 大規模建築物等の新築等(第17条―第21条)
第4節 都市景観指定建築物等(第22条―第24条)
第3章 都市景観形成市民協定(第25条―第28条)
第4章 都市景観形成市民団体(第29条・第30条)
第5章 表彰・助成等(第31条―第35条)
第6章 都市景観審議会(第36条―第40条)
第7章 雑則(第41条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、本市固有の風趣ある景観が市民の共有する貴重な文化的資源であることにかんがみ、まち並みの保全及び育成、その他都市の景観を維持及び創造し、もってゆとりと潤い、愛着と活力のある美しいまちを実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 都市景観の形成 まちの景観及び雰囲気を、本市にふさわしくすぐれたものに創り、守り及び育てることをいう。
(2) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(3) 広告物 屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物をいう。
(4) 工作物 土地又は建築物に定着し、又は継続して設置される物のうち建築物及び広告物以外の物で規則で定めるものをいう。
(5) 建築物等 建築物及び工作物をいう。
(6) 地区計画 都市計画法(昭和43年法律第100号)第12条の4第1項第1号に規定する地区計画をいう。
(市長の責務)
第3条 市長は、都市景観の形成を図るため、総合的な施策を策定し、これを実施しなければならない。
2 市長は、道路、公園その他の公共施設の整備を行う場合は、都市景観の形成に先導的役割を果たすよう努めなければならない。
3 市長は、市民及び事業者が都市景観の形成について寄与することができるよう、市民意識の高揚及び知識の普及を図るため必要な施策を講ずるものとする。
4 市長は、必要があると認めるときは、国、県その他公共団体に対し、都市景観の形成について協力を要請するものとする。
(市民及び事業者の責務)
第4条 市民は、自らが都市景観を形成する主体であることを認識し、その個性と創意を発揮することにより、すぐれた都市景観の形成に努めるものとする。
2 事業者は、その事業活動の実施に当たっては、自らの責任と負担において、すぐれた都市景観の形成について必要な配慮をしなければならない。
3 市民及び事業者は、市長が実施する都市景観の形成に関する施策に協力するものとする。
(財産権等の尊重その他の公益との調整)
第5条 この条例の運用に当たっては、関係者の財産権その他の権利を尊重するとともに、公共事業その他の公益との調整に留意しなければならない。
第2章 都市景観の形成
第1節 都市景観基本計画
(都市景観基本計画の策定)
第6条 市長は、都市景観の形成を総合的かつ計画的に進めるため、その基本となるべき計画(以下「都市景観基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 市長は、都市景観基本計画を策定しようとするときは、あらかじめ、犬山市都市景観審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、都市景観基本計画を策定したときは、その旨を告示するものとする。
4 前2項の規定は、都市景観基本計画を変更する場合について準用する。
第2節 都市景観重点地区
(都市景観重点地区の指定)
第7条 市長は、都市景観基本計画の定めるところにより、重点的にすぐれた都市景観を創造し、又は保全する必要があると認める地区を都市景観重点地区として指定することができる。
2 市長は、都市景観重点地区を指定しようとするときは、あらかじめ、当該地区の住民その他の利害関係者の意見を聴くとともに、犬山市都市景観審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、都市景観重点地区を指定したときは、その旨を告示するものとする。
4 前2項の規定は、都市景観重点地区を変更する場合について準用する。
(地区景観整備計画の策定)
第8条 市長は、前条第1項の規定により都市景観重点地区を指定したときは、当該地区の地区景観整備計画を策定するものとする。この場合において、市長は、当該地区景観整備計画に関係がある道路、公園その他の公共施設の管理者と協議するものとする。
2 地区景観整備計画には、当該地区における公共施設に係る都市景観の整備に関する方針、都市景観形成基準の策定のための指針その他都市景観の整備に関し、必要な事項を定めるものとする。
3 地区景観整備計画は、都市景観基本計画に適合したものでなければならない。
4 前条第2項の規定は、第1項の地区景観整備計画を策定し、又は変更しようとする場合について準用する。
(都市景観整備事業の実施)
第9条 市長は、地区景観整備計画を実現するため、公共施設の整備その他都市景観の形成に関する事業を実施するものとする。
(都市景観形成基準)
第10条 市長は、地区景観整備計画の定めるところにより、都市景観形成基準を定めるものとする。
2 都市景観形成基準は、次に掲げる事項のうち必要なものについて定めるものとする。
(1) 建築物の規模及び敷地内における位置、色彩及び形態
(2) 工作物の規模、位置、色彩及び形態
(3) 広告物及び広告物を掲示する物件の規模、位置、数量、色彩、形態、表示の方法等
(4) 土地の形質
(5) 木竹の態様
(6) その他市長が必要と認める事項
3 第7条第2項及び第3項の規定は、都市景観形成基準を定め、又は変更しようとする場合について準用する。
(都市景観重点地区内における行為の届出)
第11条 都市景観重点地区内において次に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、その内容を市長に届け出なければならない。
(1) 建築物の新築、増築、改築、移転、除却、大規模な修繕若しくは模様替え又は外壁面の色彩の変更
(2) 工作物の新設、増設、改造、移転、除却、大規模な修繕若しくは模様替え又は外観の色彩の変更
(3) 広告物の表示、移転若しくはその内容の変更又は広告物を掲示する物件の設置、改造、移転、修繕若しくは色彩の変更
(4) 土地の形質の変更
(5) 木竹の伐採又は植栽
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する行為には適用しない。ただし、第3号又は第4号に掲げる行為をしようとする者は、前項の例によりその内容を市長に通知しなければならない。
(1) 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの
(2) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
(3) 都市計画法第4条第15項に規定する都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為で規則で定めるもの
(4) 国又は地方公共団体が行う行為(前3号に掲げる行為を除く。)
(都市景観形成基準の遵守)
第12条 都市景観重点地区内において前条第1項各号のいずれかに該当する行為をしようとする者は、当該地区に係る都市景観形成基準に適合するよう努めなければならない。
(助言及び指導)
第13条 市長は、第11条第1項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る行為が都市景観形成基準に適合しないと認めるときは、当該届出をした者に対し、都市景観の形成を図るため必要な措置を講ずるよう助言し、又は指導することができる。
2 市長は、第11条第1項による届出をしない者に対して届出をするよう指導、勧告その他必要な措置を講ずるものとする。
3 市長は、前2項の規定により助言、指導又は勧告する場合において、犬山市都市景観審議会の意見を聴くことができる。
(地区計画)
第14条 市長は、都市景観の形成を図るため必要があると認めるときは、都市景観重点地区の区域の全部又は一部について地区計画を定めるものとする。
2 地区計画が定められたときは、当該地区計画の区域に係る地区景観整備計画は、当該地区計画と内容が同一であり、又は抵触する限りにおいて、その効力を失う。
3 地区計画において、第10条第2項各号に掲げる事項に対応する事項について都市計画法第12条の5第2項に規定する地区整備計画が定められたときは、それらの事項については、第10条から前条までの規定は適用しない。
(空地の利用等に関する要請)
第15条 市長は、都市景観重点地区内の空地が当該地区の都市景観を阻害していると認めるときは、当該空地の所有者、占有者又は管理者に対し、すぐれた都市景観の形成に配慮した利用又は管理を行うよう要請することができる。
(諸制度の活用)
第16条 市長は、都市景観重点地区内において都市景観の整備を図るため、都市計画法に基づく美観地区等の地域地区、屋外広告物法に基づく屋外広告物の規制に関する制度その他都市景観の整備に資する諸制度の活用を図るよう努めるものとする。
第3節 大規模建築物等の新築等
(大規模建築物等の新築等の届出)
第17条 都市景観重点地区の区域外において、大規模な建築物等及び広告物で、景観形成に大きな影響を及ぼすおそれのあるものとして、規則で定めるものの新築、増築、改築、大規模な模様替え若しくは外観の過半にわたる色彩の変更又は土地の形質の変更をしようとする者は、規則で定めるところにより、その内容を市長に届け出なければならない。
2 第11条第2項の規定は、前項の規定により届け出る場合について準用する。
(都市景観誘導基準)
第18条 市長は、都市景観重点地区の区域外における大規模な建築物等で景観形成に大きな影響を及ぼすものについて、景観形成のための誘導基準(以下「都市景観誘導基準」という。)を定めることができる。
2 第6条第2項及び第3項の規定は、都市景観誘導基準を定め、又は変更する場合について準用する。
(都市景観誘導基準の遵守)
第19条 都市景観に大きな影響を及ぼす行為をしようとする者は、当該行為が都市景観誘導基準に適合するよう努めなければならない。
(助言及び指導)
第20条 市長は、第17条第1項の届出があった場合において、当該届出に係る行為が都市景観誘導基準に適合しないと認めるときは、当該届出をした者に対して必要な措置を講ずるよう助言し、又は指導することができる。
2 市長は、第17条第1項の届出をしない者に対して、届出をするよう指導、勧告その他必要な措置を講ずるものとする。
3 第13条第2項の規定は、前2項に規定する助言、指導又は勧告について準用する。
(都市景観を著しく阻害する建築物等に係る措置等)
第21条 市長は、建築物等又は広告物が都市景観を著しく阻害していると認められるときは、当該建築物等の所有者等又は当該広告物を表示し、設置し、若しくは管理する者に対し、都市景観形成上必要な措置を講ずるよう助言し、又は指導することができる。
第4節 都市景観指定建築物等
(都市景観指定建築物等の指定)
第22条 市長は、都市景観の形成上重要な価値があると認める建築物等、樹木若しくは樹林又は地形若しくは地点を都市景観指定建築物、都市景観指定工作物又は都市景観保存樹若しくは都市景観保存樹林(以下「都市景観指定建築物等」と総称する。)として指定することができる。
2 市長は、前項の指定をしようとするときは、あらかじめ、犬山市都市景観審議会の意見を聴くとともに、その所有者(権限に基づく占有者又は管理者がある場合は、それらの者を含む。以下「所有者等」という。)の同意を得なければならない。
3 市長は、第1項の指定をしたときは、その旨を告示するとともに、当該都市景観指定建築物等に指定があった旨表示するものとする。
(指定の解除)
第23条 市長は、前条の規定により指定を受けた都市景観指定建築物等が滅失により価値を失ったことその他の理由により指定の必要がなくなったと認めるときは、これを解除するものとする。
(所有者等の届出)
第24条 第22条第1項の規定による指定を受けた都市景観指定建築物等の所有者等は、当該都市景観指定建築物等の現状を変更し、又は所有権その他の権利を移転しようとするときは、あらかじめ、その旨を市長に届け出なければならない。
2 前項の規定は、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるものについては、適用しない。
第3章 都市景観形成市民協定
(都市景観形成市民協定の締結)
第25条 都市景観重点地区の区域内又はこれ以外の地区の一定の区域内の市民及び事業者並びに当該区域内に存する土地、建築物その他の工作物の所有者等は、当該区域における都市景観の形成について、市民による都市景観形成協定(以下「都市景観市民協定」という。)を締結することができる。
2 前項の都市景観市民協定には、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 都市景観市民協定の名称
(2) 都市景観市民協定の目的
(3) 都市景観市民協定を締結した者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地)
(4) 都市景観市民協定の対象となる区域(協定の目的となっている区域をいう。)
(5) 都市景観の形成に必要な建築物、工作物、広告物、木竹等に関する基準
(6) 前各号に掲げるもののほか、都市景観市民協定を締結する者が必要と認める事項
3 都市景観市民協定は、前項各号に掲げる事項を記載した都市景観市民協定書(以下「協定書」という。)によって締結するものとし、当該都市景観市民協定に係る代表者は、協定書の写しを規則で定めるところにより市長に提出して、その認定を求めることができる。
(都市景観市民協定の認定)
第26条 市長は、協定書の写しの提出があったときは、その内容を審査し、当該協定の内容が都市景観の形成に寄与するものであると認めるときは、これを認定するものとする。
(都市景観市民協定の変更等の届出)
第27条 前条の規定により認定を受けた都市景観市民協定に係る代表者は、その内容を変更し、又は廃止したときは、その旨を規則で定めるところにより市長に届け出るものとする。
(都市景観市民協定の認定の取消)
第28条 市長は、都市景観市民協定の内容が都市景観基本計画の趣旨に適合しなくなったと認められるときは、その認定を取り消すものとする。
第4章 都市景観形成市民団体
(都市景観形成市民団体の認定)
第29条 市長は、一定の地域における都市景観の形成を図ることを目的として組織された団体で、次に該当するものを都市景観形成市民団体として認定することができる。
(1) 団体の活動が、当該地域における都市景観の形成に有効と認められるものであること。
(2) 団体の活動が、当該地域の多数の住民に支持されていると認められるものであること。
(3) 団体の活動が、関係者の所有権その他の財産権を不当に制限するものでないこと。
(4) 規則で定める要件を具備する団体規約が定められていること。
2 前項の規定による認定を受けようとする団体は、その代表者が、規則で定めるところにより、市長に対しその認定を申請しなければならない。
(都市景観形成市民団体の認定の取消)
第30条 市長は、前条第1項の規定により認定した都市景観形成市民団体が同項各号のいずれかに該当しなくなったと認めるとき又は都市景観形成市民団体として適当でなくなったと認めるときは、その認定を取り消すものとする。
第5章 表彰・助成等
(表彰)
第31条 市長は、都市景観の形成に著しく寄与していると認められる建築物、工作物、広告物その他の物件について、その所有者、設計者、施行者等を表彰することができる。
2 市長は、前項に掲げるもののほか、都市景観の形成に著しく貢献した者を表彰することができる。
(都市景観の形成に係る助成等)
第32条 市長は、第11条第1項の規定による届出をした者又は第14条第1項に規定する地区計画の区域内において都市計画法第58条の2第1項の規定による届出をした者がすぐれた都市景観の形成に著しく寄与すると認められる行為をする場合にあっては、その行為に要する経費の一部を助成することができる。
(都市景観指定建築物等の保存に係る助成等)
第33条 市長は、都市景観指定建築物等の所有者等に対し、その保存のために技術的援助を行い、又はその保存に要する費用の一部を助成することができる。
2 市長は、都市景観指定建築物等の保存のため必要があると認めるときは、その所有者からの申出に基づき、当該都市景観指定建築物等を借り受け若しくは買い取ることができる。この場合において、すぐれた都市景観の保全上必要があると認めるときは都市景観指定建築物等の存する土地及びその周辺の土地を合わせて借り受け若しくは買い取ることができる。
(都市景観形成市民団体に対する助成等)
第34条 市長は、第29条第1項の規定により認定した都市景観形成市民団体に対して技術的援助を行い、又はその活動若しくは運営に要する経費の一部を助成することができる。
(その他の援助措置)
第35条 市長は、前3条の規定による助成等のほか、すぐれた都市景観の形成に寄与すると認められる行為をしようとする者に対し、技術的援助を行うことができる。
第6章 都市景観審議会
(設置)
第36条 この条例によりその権限に属するものと定められた事項を調査審議するとともに、市長の諮問に応じ、都市景観に関する事項を調査審議するため、犬山市都市景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、都市景観に関する事項について、市長に意見を述べることができる。
第37条 審議会は、15人以内の委員をもって組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 市議会議員
(2) 市民の代表者
(3) 識見を有する者
3 前項の委員のほか、第7条第2項(同条第4項、第8条第4項及び第10条第3項において準用する場合を含む。)の規定に基づく事項について審議する場合には、審議会に臨時委員若干人を置くことができる。
4 前項の臨時委員は、議題に係る都市景観重点地区に関係がある市民のうちから、市長が審議事項を明示して委嘱する。
5 第3項の臨時委員は、前項の規定により示された審議事項について審議する会議に限り出席することができる。
(委員の任期)
第38条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 臨時委員は、当該審議事項の審議が終了したときに解任されるものとする。
(会長)
第39条 審議会に会長を置き、会長は委員の互選により定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、あらかじめ会長が指名する委員がその職務を代理する。
(運営)
第40条 この条例に定めるもののほか、審議会の議事の手続その他運営に関し必要な事項は、審議会が定める。
第7章 雑則
(規則への委任)
第41条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、平成5年4月1日から施行する。ただし、第2章第2節から第5章までの規定は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。